シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
桜ちゃんは居なかった。
何処に行ったんだろう?
桜ちゃんの姿を見つけようときょろきょろ顔を動かしたあたしに、玲くんはわざとらしい1つ咳払いをすると、
「芹霞、おいで?」
優しく微笑んで…あたしの腰を引き寄せ、当主に言ったんだ。
「これが――
"お試し"の成果です。
僕は――
芹霞を…手に…入れました」
そして、あたしの手を握った。
震えてる。
玲くんの手が震えている。
あたしを好きだと――
だから意識してくれと…玲くんは今日何度も言っていた。
何度も手を繋いだ。
何度もキスをした。
だけど――
今の玲くんは…何か違う。
玲くんの心は――
喜んでいないように思えた。
両想いだと思ったのは錯覚だったんだろうか。
そんな思いに駆られ、凹んできた時、握られた手は恋人繋ぎに変わった。
それは想いを繋ぐというより…
痛い程傷ついた…彼の心を伝えてくるもので。
あたしは、迷子になった子供を助けたような…そんな心境になった。
何だか――
切なくなったんだ。