シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「玲くん、玲くんッッッ!!!」


多分――

あたしの目はきらきらしていたと思う。


今日限りの券。

行きたかった場所。


今は"彼氏"がいる。


しかも何だかゲーム出来る"サイバーチック"な場所もあると聞いたし、絶対玲くんも楽しめる!!


こんな好条件、逃したら次はない。


「玲くん!!!」


すると玲くんは、片手で顔を隠すように項垂れながら、反対の手の指で窓の外を示した。


それを目で追ったあたしは――



「すごっ!!! 玲くん…

S.S.A、連れてきてくれてたの!!?」



目の前に大きな看板。

巨大な敷地が視界一杯に拡がっていて。


此処……S.S.Aだったんだ!!!



「何で…判られるんだよ…。

そこまで僕、単純……?


しかも"ご愁傷さま"って…なんだよ…」


泣き出しそうな玲くんの声が聞こえてくる。


そして、突如がばっと顔を上げ…


「『S.S.A』って何の略!!!?」


あたしはチケットをよく見た。


「怪しい頭文字(イニシャル)だけど、まさか…『SUPER』とか『SERA』とか『AOI』の略じゃないね!!!?」


聡い玲くん、そんなことを思っていたのか。


『SUPER SERA AOI』


確かにその頭文字も『S.S.A』だけれど、そんなんだったら、あたし行きたくない。


むしろ敬遠したい。


どうか、どうか…そんなものの略じゃありませんように。


祈るようにして、あたしはチケットの単語を探し出した。

< 151 / 1,495 >

この作品をシェア

pagetop