シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「玲くん、玲くんッッッ!!!」
多分――
あたしの目はきらきらしていたと思う。
今日限りの券。
行きたかった場所。
今は"彼氏"がいる。
しかも何だかゲーム出来る"サイバーチック"な場所もあると聞いたし、絶対玲くんも楽しめる!!
こんな好条件、逃したら次はない。
「玲くん!!!」
すると玲くんは、片手で顔を隠すように項垂れながら、反対の手の指で窓の外を示した。
それを目で追ったあたしは――
「すごっ!!! 玲くん…
S.S.A、連れてきてくれてたの!!?」
目の前に大きな看板。
巨大な敷地が視界一杯に拡がっていて。
此処……S.S.Aだったんだ!!!
「何で…判られるんだよ…。
そこまで僕、単純……?
しかも"ご愁傷さま"って…なんだよ…」
泣き出しそうな玲くんの声が聞こえてくる。
そして、突如がばっと顔を上げ…
「『S.S.A』って何の略!!!?」
あたしはチケットをよく見た。
「怪しい頭文字(イニシャル)だけど、まさか…『SUPER』とか『SERA』とか『AOI』の略じゃないね!!!?」
聡い玲くん、そんなことを思っていたのか。
『SUPER SERA AOI』
確かにその頭文字も『S.S.A』だけれど、そんなんだったら、あたし行きたくない。
むしろ敬遠したい。
どうか、どうか…そんなものの略じゃありませんように。
祈るようにして、あたしはチケットの単語を探し出した。