シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「やったあ、玲くん!!! 違うよ、違ったよッッ!!!」
あたしは万歳三唱をした。
「長い3つの英単語が並んでる。
『サ…スペン…ディセ サピエ…ン アド…ボ…カト』
呪文みたいだね。…何処にも蒼生ちゃんの名前らしきものは入っていない。大丈夫だよ、玲くん。これはアオ…じゃなく、シロだったよ」
そう言いながら、あたし自身も本当に安堵する。
胡散臭い息はかかっていない。
安全領域が保証されただけで、それだけで満足だ。
「『サスペンディセ サピエン アドボカト』…?
英語…? 何で訳せれないんだ? 本当に英語か?」
だけど玲くんは眉間に皺を寄せて…ぶつぶつ呟いていて。
そして――
「ねえ…芹霞。この施設…随分と、青色の…色彩が強くないか?」
そんなことを言い出す。
言われてみれば確かにそうだけれど、言われなきゃ気にならない。
「青色って…そりゃあメジャーな色だもの、使っているでしょう?
玲くん考え過ぎだって。幾ら氷皇が暇人だからって、こんなものまで経営したりしないってば。行こう? ね、玲くん」
あたしは玲くんの腕を両手で掴んで首を傾げた。
「行こうよ、玲くん。ねえ?」
「―――…。
ああもう…。
こんなに意識するのは…僕ばかり」
そっぽを向いた玲くんの顔は赤かった。