シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
・噂 桜Side
桜Side
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私は、それなりに裏世界(アングラ)に通じている。
紫堂の警護団長として、櫂様の命令にて秘密裏に動かないといけない時、或いはどうしても手にしたい隠匿された情報が、玲様の精通する電脳世界から引き出せない時などは、私は裏世界に潜る。
裏世界というものは、東京の真裏の世界。
華やかさとは無縁の、穢れた世界。
表世界で生きれなくなった人間の、唯一の生息できる場所。
それは…西新宿に入り口が在る。
知る人ぞ知る、西新宿の裏路地にある喫茶店『安愚楽(アグラ)』。
普通人ならまず行き着けないような場所にあるその喫茶店に、入っている客は…裏世界の情報が欲しい人間か、あるいは裏世界に入りたい人間。
裏口から地下に抜ければ、縦横無尽に拡がる裏世界に入る。
裏世界に足を踏み入れたら、ちょっとやそっとのことでは抜け出せない。
極道の世界より、もっとシビアで過酷だ。
完全弱肉強食。
弱い新入りは速攻潰される。
生き残れる者は…表世界では名前がない者が多い。
表と裏の世界に同時に生きていられる者は本当に稀で、そういう者達を隠語で"半陰陽"…インターセクシュアルの略を取り、ISと呼ぶ。
私もまた、ISの1人だ。
思えば、男だか女だか判らない…曖昧な外貌をしているのだから、ISに分類されるのは、その意味からしてそれは当然の帰結だったのかもしれない。
「あれ~、『漆黒の鬼雷』やん」
怪しい…黒いサテンのシルクハットからはみ出る目映い金髪。
耳は勿論のこと、鼻や唇に金色のピアスをジャラジャラと飾っているのは、『安愚楽(アグラ)』常連の男。
煌とは違う意味で派手な男だ。
『聖(ヒジリ)』という通称で呼ばれているISの情報屋。
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私は、それなりに裏世界(アングラ)に通じている。
紫堂の警護団長として、櫂様の命令にて秘密裏に動かないといけない時、或いはどうしても手にしたい隠匿された情報が、玲様の精通する電脳世界から引き出せない時などは、私は裏世界に潜る。
裏世界というものは、東京の真裏の世界。
華やかさとは無縁の、穢れた世界。
表世界で生きれなくなった人間の、唯一の生息できる場所。
それは…西新宿に入り口が在る。
知る人ぞ知る、西新宿の裏路地にある喫茶店『安愚楽(アグラ)』。
普通人ならまず行き着けないような場所にあるその喫茶店に、入っている客は…裏世界の情報が欲しい人間か、あるいは裏世界に入りたい人間。
裏口から地下に抜ければ、縦横無尽に拡がる裏世界に入る。
裏世界に足を踏み入れたら、ちょっとやそっとのことでは抜け出せない。
極道の世界より、もっとシビアで過酷だ。
完全弱肉強食。
弱い新入りは速攻潰される。
生き残れる者は…表世界では名前がない者が多い。
表と裏の世界に同時に生きていられる者は本当に稀で、そういう者達を隠語で"半陰陽"…インターセクシュアルの略を取り、ISと呼ぶ。
私もまた、ISの1人だ。
思えば、男だか女だか判らない…曖昧な外貌をしているのだから、ISに分類されるのは、その意味からしてそれは当然の帰結だったのかもしれない。
「あれ~、『漆黒の鬼雷』やん」
怪しい…黒いサテンのシルクハットからはみ出る目映い金髪。
耳は勿論のこと、鼻や唇に金色のピアスをジャラジャラと飾っているのは、『安愚楽(アグラ)』常連の男。
煌とは違う意味で派手な男だ。
『聖(ヒジリ)』という通称で呼ばれているISの情報屋。