シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
そんな時、目の前に女学生の集団が横切った。
北新宿にある女子高の制服を身に付けた少女が5、6人。
私は目を細める。
誰もが腰まである黒髪をみつあみにし、スカートは膝下、白いハイソックス。
顔は勿論、化粧が施されてはおらず。
姿に明るい色の彩りはなく、黒や紺色など地味な色で統一されている。
今時珍しい…古風の出で立ちだ。
あの制服の高校は、自由な風紀で有名ではなかったか。
校則はあるのだろうが、化粧、パーマ、染髪、アクセサリーは勿論、スカート丈が極端に短く、鞄を尻にあてて階段を上るという女学生が多い…風紀乱れた高校として真っ先に名のあがる学校の生徒が、何故あんな模範生のような姿?
極端すぎた。
不審な思いを抱きながら、彼女達を見ていたら…
「自警団っっ!!!」
その内の1人が青ざめた顔で私に向かってそう叫んだと思うと、突如縦列となり…顔を伏せながら道端を歩き出したのだ。
此処は私以外に人はおらず。
だとすれば"自警団"とは私に向けれた言葉ということで。
皆の"恐怖"に満ちた緊張は、私に向けられたということで。
「???」
男装姿の私は、そこまで厳しい顔をしているのだろうか。
そこまで顔を強張らせ、殺気めいて闊歩しているのだろうか。
確かにこの服は、自警団の型と同じだけれど…白色ではないのに。
凄く、気になった私は、集団の1人に声をかけた。
「あの…」
「ひぃぃっ。すみません、ごめんなさい!!」
突然ぺこぺこと謝り始めた女生徒は、私を見て突如顔を沸騰させて固まった。
今度は何だ?
思い切り、眉間に皺を寄せて怪訝な顔をしたのだと思う。
すると、隣に居た少女が、代わって頭をぺこぺこと下げ始めた。
「すみませんすみませんッッ!!! 道中でお喋りをしていてすみません、横一列に並んで歩いていてすみませんッッ!!! もうしませんから、許して下さい。"矯正施設"に連れて行かないで下さいッッッ!!」
息継ぎもせず、一気にそう言うと、沸騰したままの少女と共に地面に土下座を始めたのだ。
それを見た他の少女達も同様に、土下座を始めて。
私は訳が判らない。