シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
恐らく、自分達だけが通用する"絶対善"を振りかざし、それにそぐわぬ者達が出ないかどうか見張ってでもいるのだろう。
私が感じた視線の正体は、恐らくは自警団。
この付近に、まだ何組も居るのだろう。
桜華の時では、授業中だけの取締りだったのに…今では至る処に自警団の監視の目があるというのか?
だからそれから逃れる為に新宿から若者が消え…そしてこの土地はひっそりと静まり返り、妙な緊張感だけが残っているというのか?
自警団が出現するのは…新宿だけだろうか。
「これは心外な。"ガイダー"の言葉とは思いませぬ。我らは"乱れ"を許してはいけない。人は規則(ルール)に従うのが道理。外れた者には、罰則(ペナルティー)を架し、矯正せねばならない」
「き、矯正…」
ガタガタと震えだす少女達。
「道で会話し横一列に並んでいたのは矯正対象ではない。取り締まるべきはそんな者ではないはずだ。彼女達のものは、"乱れ"ではない」
「ほうそれは大罪だ。更に貴方を見て態度を変えたというのなら、いなければ何をするか判らないという危険を秘め、最早情状酌量の余地すらありませぬ」
まるで、聞き入れようとする余地がない。
この顔。
まるで機械(ロボット)のようだ。
私もよく"無表情"だと言われるが、それでも筋肉が動くから…表情は作れる。
だが目の前の自警団は…動くのは唇だけ。
気味が悪い程、人間らしさがない。
まるで…"心"がない。
男も女も…事務的で機械的で。
ただマニュアルに沿って動いているような。
「"あの方"の世界に、異分子は必要ない。必要なのは、統一された価値観。その為に我ら自警団が存在するのではないですか。そして"ガイダー"は、我ら自警団の案内役。"ガイダー"自らルール違反を犯すのですか?」
"あの方"
何と意味ありげな…影の存在を示す言葉。
気にはなるが…今の私の心情は、そちらに流れることなく、
"案内役"
――この劇の"案内人"は俺だ。
氷皇の言葉に奇妙に重なることより、
"ルール違反"
その言葉に意識を集中してしまった。