シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 

詰られるべき謂(いわ)れは何もない。


私の目で見た事実は、一般論からして矯正という言葉にはそぐわず…ただ理不尽なだけだと述べた事が、何故"ルール"を違反したということになるのか。


そもそも、そんな理不尽さを許す"ルール"とは何か?


私は自警団の言い分がまるで判らなくて。



「私が案内役だというのなら。その案内に従うのが自警団だろう。従わぬというのなら、それこそお前達の方が"ルール"違反ではないか」


自警団の唇の動きが止まる。

しかし従う素振りはなく。


"矯正"問題は、私の立場でどうにかできる問題ではないらしい。


それ程、ルールというものは強いものなのか。


だから私は――


「"あの方"は…如何思われるかな? 私の案内に従わぬお前達を見て」


見知らぬ存在を掲げてみた。


それは閃きのような案だったのだけれど。


すると、機械のような顔が初めてぴくりと反応して動き、



「……判りました。

さあ…帰るぞ」



"あの方"


それを掲げただけで、あっさりと自警団は退いたのだ。


それに伴い…こちらに向けられていた、別の視線から放たれていた妙な緊縛状況も解けた気がする。


つまり、私の言葉がかなり効いたのだ。


"あの方"


自警団の頂点にいる人間なのだろうか。


――"あの方"の世界に、異分子は必要ない。


誰が、何を作ろうとしているのか。

私の知る者か、知らぬ者か。


何の目的を持ち、自警団を率いているというのか。




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