シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
1つ判ることは――
自警団の"やりすぎ"により、恐怖政治が敷かれているということ。
それにより、東京は悪しき方に変わろうとしている現実。
嫌な予感を感じた。
自警団とは…乱れた風紀を整える、ただのボランティア集団ではなかったのか?
どうして、此処まで"自由"を奪える権限を持ちえるのだ?
また、制裁者(アリス)の制服と同じ型なのも気になる。
瘴気を含んでいるのも気になる。
そして、聖の口からも出てきた"自警団"。
氷皇が私に着せたのは、自警団としての制服なのか、制裁者(アリス)としての制服なのか。
今、即効の効果を見せ付けたのは、自警団の青。
その青色は、氷皇が口にした言葉と同じ"案内人"としての効力を持つ。
それにより、引き下がった自警団。
自警団とは、一体何者なんだ?
不穏な空気が消えぬ中、残されたのは…呆然としている少女達と私。
そして地面に転がる、壊れた2つ折の携帯。
私は、白いそれを取り上げた。
拡げれば…真っ黒い画面は皹が入って壊れていた。
何処からどう見ても携帯電話で、もう電源は入らない。
「?」
その時、携帯を握る指先に感じたのは違和感。
くるりと背面にひっくり返せば…
「――…記号?」
機体に直接刻まれているようだ。
それは平仮名の「ひ」の最初と最後の部分を丸めたものを、更に上下に反転したような…山形の左右対称の記号。
見覚え在る。
これは――
かつて桜華の中庭で…使い魔たる上岐妙が少女を襲い掛かり錯乱していた時、指先で宙になぞっていたという記号。
確か櫂様は、彼女はこの記号を描いていたと、私達に紙に書いて見せてくれた。
偶然?
「ドラゴンヘッド?」
少女のうちの1人が、その記号を見て首をかしげた。