シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「気に入らないな」
気づけばまたあの紅紫色の瞳。
遠くでもなく近くでもなく、一定の距離を保ちながらも視界の中にいる。
しかも――俺の隣の位置に。
腕を組んで、冷ややかに俺を見ている。
「それ…せり関係なんだろう」
"それ"
紅紫色の瞳は、手首の布に向けられている。
『お前には関係ない』
俺は…目の前の、かつて氷皇の領域にあった青いパソコンに打込んだ。
あの忌まわしい草のおかげか、間もなく…徐々にだが俺の身体に力が戻った。
しかし望んだ以上の早い体力回復速度にならないと見越した俺は、取り戻した体力を犠牲に、回復結界を張って自らの力で治癒力を高め…そしてようやく、ふらつきはするものの、動けるまでに回復出来たんだ。
つまり。
結局俺は、自分の力で回復したんだ。
声はまだ戻らないものの、ここまで回復出来たのは、自分の力だ。
それなのに、未だ恩着せがましい態度と上から目線で、紅紫色の目を向けてくる。
そして執拗に鋭い視線が注がれるのは、俺の手首の布。
無視しても何しても、絡み付いてくる。
あまりにしつこいから、俺は会話用に用意された青いパソコンに荒く打ち込むんだ。
『お前には関係ない』
言うものか。
これは俺だけの芹霞だ。