シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「大丈夫だよ…芹霞。

君が隣に居てくれるなら…

僕は頑張れるから…」



そう儚く笑う玲くんに、あたしは胸が痛くなって。



「うん、玲くんの隣に居るからね

今まで通り…だよ?」



玲くんを抱きしめると…その柔らかな鳶色の髪を撫でて上げるんだ。



そう、痛みを分け合うみたいに。



あたしは――


知っている。



「ごめんね、ごめん…」



そうしている間も尚、繰り返される玲くんの小さな謝罪。


そして――

密かに泣いていることを。



玲くんは――

心に闇を抱えてしまったんだ。



今皆がばらばらで、玲くんだけが難しい立場に居て。


紫堂には…

玲くんの味方は、あたししかいない。


支えてあげられるのがあたししか居ないというのなら、あたしは喜んで玲くんを支えてあげたいと思う。



また――

昔に還れるよね?


皆と笑いあった日々が思い起こされる。


あたしと玲くんと、煌と桜ちゃんと。


そしてそこに由香ちゃんが加わった――

"5人だけ"の世界。



――ソレダケ?



楽しかったね。

よく笑ったね。



――ホントウニソレダケ?

< 19 / 1,495 >

この作品をシェア

pagetop