シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
あたしの頭って、何でこんなに単純構造なんだろう。
玲くんに知られたら、絶対笑われる。
いつも困った時には助けてくれる玲くんが、あたしを困惑させる元凶だったら…あたし自分で何とかしないといけないのに、解決策が何も思い浮かばず…
――どうしたの? 顔が赤いね、芹霞。
また…べたべた&ちゅっちゅ&とろりの洗礼を浴びる。
何で今日は、こんなに容赦ないんだろう。
このままだと、きっとあたしは熔解人間になる。
液化して気化して、此の世から無くなってしまう。
何とかしなきゃ…。
――駄目だよ、僕から離れちゃ。
本能的危機感も、べたべた&ちゅっちゅ&とろりに屈服だ。
ああ、判ってますよ、来園されてる…綺麗なお姉様方。
ちゃんとお相手が居るのに、あたしを殺してしまいそうな…嫉妬の眼差しを送らないで下さい。
判ってますから。
玲くんの美貌はどんなに破壊力あるか。
あたしがどんなに不細工か。
あたし、きっと生成された血液の3分の1は、玲くんの色気に…鼻から吹き出されたと思います。
判ってますから。
玲くんがどんなに優しくて、どんなに頭がよくて、どんなに強くて、名実共に…どんなに王子様かっていうことくらい。
そんな玲くんと…愉しんで"お出かけ"しようとしたあたしは、どんな不届き者なのかってことくらい。
"お試し"なんて出来る身分でもないのに、こんなにべたべた&ちゅっちゅ&とろりを向けられて、玲くんを独り占めしちゃっているのがどんな凄い状況かってことくらい。
――好きだよ、芹霞。
あたしだって好きだ、大好きだ。
「like」と「Love」のどちらかって言われれば、「Love」だ。
だけどそれは、煌にも桜ちゃんにも…久遠にも久涅にも紫茉ちゃんや由香ちゃん、弥生にも言えるんだ。
言葉は難しい。
玲くんが望む「Love」は違うとは判ったけれど、どう違う「Love」があるのか判らないんだ。
今、玲くんに対してドキドキしているのが、玲くんの望む「Love」?
判らない。
本当に判らないんだ。