シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
――本当に可愛いね、僕の"彼女"。
だけど玲くんは嬉しそうで。
本当に幸せそうに微笑むから。
この処…発作を起こして疲れ切った顔ばかりしていた玲くんが、本当に本当に穏やかに笑ってくれるから。
きっと…今の延長上に、玲くんが望む形があるんだろう。
あたしは、その形を望んでいるの?
自問自答して出る答えはなく。
ただ…玲くんが喜ぶのなら、あたしは拒む理由がないと思う。
拒む処か、玲くんに染められそうになることを、暗黙に了承する自分がいるのを自覚している。
ぬくぬくとした心地よさに、酔い痴れる自分がいるのが判るから。
だけど――
その度に、訳も判らぬ罪悪感が心に募るんだ。
あたしは、べたべた&ちゅっちゅ&とろりされれば…ここまで翻弄されて流される女なのかって。
べたべた&ちゅっちゅ&とろりされねば、あたしは…此処まで玲くんを意識出来た? 意識しようと思った?
それに――
玲くんと恋を始めちゃいけないって思っていた筈なのに、そんなの…どうでもいいやって思う自分もいて。
それに対する妙な背徳感。
何だろう、悪循環を彷徨っているような。
あたしはこのまま玲くんのことだけを感じていいのだろうか。
もっと違うことを考えなくともいいんだろうか。
――…ちゃあああん!!!
誰のことを?
玲くん以外に誰のことを?
――芹霞。
ああそれは――
――…煌?
あたしは…
煌以外に思いつかなかった。
あたしに真っ赤になって告白して、待つと言ってくれた…大好きな幼馴染のことを。
あたしなんかがいいと言ってくれる奇特な男は…玲くん以外には奴だけだから。
ああ、あたしは…
この先どうしたいんだろう。
どうなっていくんだろう。
あたしは玲くんを失いたくない。
同時に煌も失いたくない。
それだけは確かだ。