シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
今日の貸切って…Zodiacのライブの為だったんだ。
なんかやだ、このZodiacの曲。
鳥肌が立ってくる。
本能的な拒絶感がある。
「俺は…したいようにする」
身体が悪寒のように、ざわざわとする。
流れる曲が、耳障りで仕方が無い。
「ただそれだけだ」
そう言い捨て、去っていく久涅。
何が言いたいのか判らないけれど、こんな中にあたしを置いていかないでよ。
「待って、待ってよ……」
思わず引き止めようとしたら、玲くんが振り返らずに手であたしを制した。
「行かせないよ」
怖い。
玲くん凄く怖い。
あたし…
黙って出てきたから、ご立腹なんだ。
「ねえ…"同棲"って何」
抑揚のない声で。
「君は…僕に黙って――
何処に行こうとしてるの?」
くるりと、玲くんがこちらを向いた。
優しさを無くした…
冷たい鳶色の瞳。
"買って上げるから"
条件反射のように蘇り、胸が痛い。
やだな。
"お試し"の最後がこんなんじゃ嫌だ。
そんな時。
「玲」
久涅が振り返り、
「欲しいならやる。
しがない"貰い物"だ」
ぱしりと投げつけたのは…
「何れ錆びる安物は、"成り上がり"にぴったりだろう。せいぜい大切にしろよ、シンデレラのオウジサマ」
あたしからの――
玲くんへのプレゼント。