シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
玲くんは条件反射でそれを掴んだ。
本来の持ち主に帰ったそれは――
「いらないよ、こんなもの!!!
僕を――
馬鹿にするなッッッ!!!」
声を荒げた玲くんその人に…
地面に叩きつけられたんだ。
ガキーン。
バングルが…悲鳴を上げ、転がった。
同時に――
あたしの心も悲鳴を上げた。
"こんなもの"
"馬鹿にするな"
玲くんの声が反響する。
「それより、芹霞…」
"こんなもの"
"それより"
少し…欠けてしまった月長石。
あたしの玲くんへのプレゼント。
"こんなもの"
"こんなもの"
否定されたあたしの心。
行き場をなくしたあたしの心。
優しい玲くんから、いらないと投げつけられた。
玲くんとのぬくぬくとした思い出。
大好きな玲くんとの今までが。
「芹霞…もっとよく話がしたいんだ。
僕の態度が誤解を招いたなら謝り…」
玲くんの声が遠くに聞こえる。
苦しい。
――いやああああああ!!
苦しいのは嫌だ。
――目を開けてよおおお!!!
ああ…あたしの周りには誰もいない。
1人、また1人と…いなくなっていく。