シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

・追跡 桜Side

 桜Side

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北新宿――。


ひと言でそう括るには、広い土地柄だ。


大久保と中野と隣り合わせのこの土地は、芹霞さんの家の近隣であり…新宿に住まう私達のマンションとも比較的距離が近い。


小さな神社仏閣が点在し、最近では高層の商業ビルも竣工した。


人気を南や東西に取られがちのこの土地も、賑わいをみせている。


情報屋の聖は、煌の出現地域の1つに北新宿を入れた。


"血色の薔薇の痣(ブラッディローズ)"狩りをしているという煌。


聖は何故この土地を、煌の出現の可能性として断言したのか。


そして1点に張れば、煌と巡り会えると言ってたけれど、北新宿の一体何処で煌を待てばいいのだろうか。


私は、ポケットの中の小瓶を手で触る。


数は2つ。


中には液体が入っている。


これは――


――いいか、桜。時期を間違えるなよ。


緋狭様から貰った小瓶。


もし煌が制裁者(アリス)として真紅の邪眼の呪縛から逃れられないようであれば、これを飲ませろと言われた。


中の液体が何かは判らない。


そして反対側のポケットには――


「"ジキヨクナール"…」


かつて私が口にして、痛みと熱を押さえた謎の薬剤が入っていた。

この――胡散臭い青い服のポケットに、既にそれは用意されていた。


――あははははは~。


どうも…あの男に動かされている気がしてならない。
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