シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
見越していた。
最初から櫂様は。
そう見越していたからこそ、全てを私達に託されたんだ。
――約束、して欲しいんだ。
そう…
櫂様が"死ぬ"ことこそが、
櫂様の切り札だった。
見事なまでに――
死ぬことだけが。
此の世から消えることでしか、救われない。
櫂様の破滅こそが、突破口になると…
そう考えられた。
謎と狂気に満ちた状況が、人を変えても延々と続くことをみてとっても。
例えゲームに勝利したとしても、
また同様に…嬲られながら窮地に立たされるのは必須。
ならば――。
何処までも…狂気が終わりなき円環に沿っているのなら、そこに亀裂を入れる為には、櫂様が滅ぶしかなかった。
『気高き獅子』は必要ない。
むしろ邪魔なのだと――
櫂様はそう考えられていたんだ。
死ぬことが…打開策だと、櫂様は考えられた。
それは矛盾。
それは逆説。
救われる為に破滅するなんて…ありえない。
だけど。
現実を反転するためには――
櫂様が生き残る為には――
その矛盾をやり遂げねばならなかった。
死ななければ、出来ない"何か"があった。
それを示唆したのは、緋狭様だった。
――坊は、死なねばなりませぬ。