シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 
以前、緋狭様に聞いたことがある。


守護石は、1つの武器しか作り出せない。


その形態変化は望めないと。


――だが不可能ではない。


緋狭様は言った。


――身体にかかりすぎる負荷に耐えうるだけの力があれば。


そして私は、更なる強さを求めるが故、緋狭様の元で…裂岩糸の形態を変化する修行もしてきて、未だ綱状にしか出来ず。


こんな…煌みたいに外貌を大きく変え、それに比例させて武器の潜在能力を上げることなど…出来やしない。


煌がこうした修行をした場面など一度も見たことがないし、少なくとも姿を消した数日間でモノにできるような簡単なものではない。



これが初めてのものであるならば…。



元々煌は未知数なれど――


私と煌の差は歴然だった。



――いいか、桜。



ゴロゴロゴロ…。

雷の音。




――もしお前が煌に敵わなかったら、



これが制裁者(アリス)?

これが№2の実力?



――これを飲め。



「ふざけんな、てめえ!!!」



――だが効果は持続しない。


まだだ。

私はまだ薬には頼らない!!



――その上で、こっちのものを煌に飲ませろ。



煌に…負けたわけではない!!!



――それでお前達の力は…等しくなる。



私の能力を伸し、煌の能力を押さえる。


それで等しくなるなんて…私には屈辱!!!


まだ認めない。


まだ私は!!!


私はその場で跳ね、宙で身を捻る。


そして反動つけた膝を煌の後頭部に打ち付ける。


だがその直前で…煌は消え、私の背後に立っている。


巨大な偃月刀を手にしている煌に、速度すら勝れない。


そして煌は巨大な偃月刀を…


私ではなく、広範囲の殺戮の為に使用始めたのだ。


射程圏にいる私に背を向けて。


私如きには使う価値もないということか!!?

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