シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


だから私は――

怒りを堪え哀しみに耐え。


動けるようになる為に、どんな治療も拒まなかった。


拒む力もなかったけれど。


毎日のように体内に混入される"何か"。


注入されているのが、ただの鎮痛剤ではないことは…明らかで。



何より――


此処は普通ではないから。


機械で囲まれた研究室。

白衣を着た多くの人間達。


うっすらとした視界の中に見えるのは――

私に手を振る…青い色。



そして――赤い色。



ねっとりとした…ゼリー状のものに満ちた水槽の中、


全身チューブに繋がれて…


身体を丸めている私――。




ああ――


こうして陽斗も煌も――


体力を回復してきたのだろうか。



尋常ではないあの回復力が、

もしも私の肉体に宿ることが出来るのなら。



今度こそ、私は守れるだろうか。




――櫂様を。


< 27 / 1,495 >

この作品をシェア

pagetop