シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「玲くん?」
だけど…すぐになくなる。
消えたというよりは、弱く分散された感じだ。
同時に、周囲がざわめきだした。
「ねえ…なんか寒くない?」
「感じないけど…」
「暖房、入っているよね?」
「必要ないよ、暑いのに…誰も消そうとしない」
暑い者と寒い者が極端に別れているようだ。
それが、気になった。
そしてまた、膨れる瘴気。
何だ…?
「あれ、何で扉開かないんだろう」
出て行こうとしたカップルが騒いでいる。
「鍵がかかっているのかな」
「あれ、従業員は何処にいった?」
「え、何?」
「出られないって?」
入り口に、見る見る間に…野次馬が出来る。
「出れなくなっちゃったの?」
芹霞がココアを飲んだ後、また小さな欠伸をした。
「そうみたいだね…。ねえ芹霞。君が暖まるまで、この施設にいようか」
「別に寒くないんだけどな」
「それだけ冷たいのに感じられないのは変だ。ちゃんと暖まろう」
僕は、自分のタオルも芹霞に巻き付け、芹霞は着ぶくれした状態になった。
まるでロシア人形マトリョーシカのようだ。
青く染まっているのが気に入らないけれど。