シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「こ、此処でやりたいのなら、ちゃんとルールに従えよッッ!!! 予選勝てば譲ってやるよ。出来ればな」
彼の言いたいことも判る。
だけど同時に、蔑んだ眼差しに…僕の腹立たしさは増した。
たまにゲームセンターに行くことがあっても、ただ眺めているだけで…僕にはゲームなど出来やしないと決めつけられるんだ。
結構因縁つけられて煩いから、僕は引き籠もって家でオンラインをするようになったんだけれど。
ああ、つけられた因縁は、都度、目の前でちゃんと返している。
ゲームでね。
芹霞はどうしても、あの席で僕にゲームをして貰いたいらしい。
だとしたら。
僕は会場の片隅にある規定の…カード販売機にて専用カードを買った。
ゲーム大会の出場者は、アーケードからの参加者は、日頃育成したキャラを記録した規定カードを備え付けのカードリーダーに差込んで闘い、家の機械を利用する者は日頃使用しているIDとパスが必要となる。
ここはアーケード扱いとなるのなら、どうしてもそれが必要で。
「馬鹿じゃねえの、あの格好つけ男。今からカード買ったら、50級スタートじゃないか。決勝には最低"段"が必要で、優勝者なんて最高30段の上のさらに"全能神"の称号貰ってるんだぞ?」
そんな囁きが聞こえてくる。
十分判ってるよ。
僕…"全能神"の称号貰っているから。
由香ちゃんは、"軍神"だ。
ゲームは変わっても、カードやIDパスにて、レベルは保持される。
だから僕はどんなゲームにおける闘いでも、いつでも"全能神"だ。
負けるとレベル落ち。
棄権3回でレベル落ち。
それが嫌で、僕も由香ちゃんも…いつでも称号を保持し続けているけれど。
芹霞はじっと僕を見ていて。
僕は芹霞の頭にキスを贈って、この場の男達を睨み付けてやる。
そして芹霞に囁く。
「レベルを上げるには、強い人達と闘わないといけないんだ。すぐ決勝戦に行ける段位を取るから、待っててね?」
芹霞は無表情のまま、こくんと頷き、僕の背後に立って観覧することにしたようだ。