シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 
あたしは心をバングルに託した。

それを玲くんが壊した。


だけど、玲くんが壊したのはバングルであって、あたしの心ではなく。


あたしはいつの間にか心という輪郭のないものを、形あるバングルという"モノ"と同一視してしまい、自分一人で被害者面をしていたんだ。


あたしの心は、打ち付けられたら壊れる"モノ"じゃない。

あたしと玲くんとの絆は、簡単に終わる"モノ"じゃない。


それなのに。



"モノ"に縋り過ぎて周りが見えなくなるなんて…

そんなの、まるで――…

ただの"狂信者"のようじゃないか。


逃げちゃ駄目だ。


あたしの中に真実の"心"があるのなら、

それをまだやり直しがきく時に、


玲くんに判って貰えばいいだけ。

玲くんを判って上げればいいだけ。


世界が違うとご大層に線引出来る程、あたしは玲くんを理解していない。


剥き出しの心で接触していたわけじゃない。

喧嘩すらしていない。


怒りも哀しみも伝えず、ただ勝手に睡眠に逃げようとしていた。


いつもありがとう。

玲くん、大好きだよ。


その心を直接拒まれたものでないのに。


諦めて逃げようなんて、あたしらしくもないじゃないか。



あたしは――

"お試し"を終えられない。



すべきことがある。


玲くんを…探しに行かなくちゃ。


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