シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
行き違いになってしまったのかも。
慌てて休憩所に戻ったり、手洗い付近をウロウロしてみたけれど…やっぱり玲くんの姿はなく。
入り口はまだ開いていないようであれば…玲くんが居る場所として考えられるのは…
「Zodiacの処!!?」
単純な消去法で行けば、それしか残らない。
玲くん何でZodiac?
嫌がっていなかったっけ?
「もしかして……。あたしがトイレで寝てたから…」
玲くんがライブを見に行ったのではなく、あたしを探しに…行ったとか?
そう考えるのが自然な気がした。
ああ、あたしと玲くんはすれ違い、行き違いばかりだ。
早く合流しなくちゃと、心が妙に騒ぐんだ。
「色々ごめんね、玲くん…」
完全眠気が覚めて冷静になれば、玲くんにまず謝罪したいと思う。
結局はあたしが、玲くんを信じられなかったのが一番の起因。
何があっても玲くんは玲くんだと…受容さえ出来れば、ここまでばたばたと行き違うこともなかったのだから。
爆音が大きくなってくる。
かつて――
玲くんはZodiacの歌が流れると、凄く嫌そうに顔を歪めさせていた。
そんな玲くんを、雑音が氾濫する場所に追いやったのは、何とも忍びない。