シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
Zodiacのライブ会場前。
通路には人が溢れていた。
耳を澄ませば…入り口の閉鎖の理由と即時解放を訴えている。
集団が取り囲んでいるのは――
「は? 何で自警団!!!?」
どう見ても…制裁者(アリス)の制服と酷似した白服を着た…桜華で見た自警団が数人で。
集団は、毛色が違う自警団を従業員とみなしているらしい。
相変わらず無表情のまま、詰め寄る人々にまるで反応せず、まるで門番のように仁王立ち状態。
此処に居る意味が判らない。
人々の相手をしない理由は何かあるのだろうか。
従業員ではないからか。
それとも必要がないからか。
自警団は学生だけではなく、大人も取り締まっているのだろうか。
よく判らないけれど、あたしは皆と一緒になって入り口がどうの騒ぎ立てるより…Zodiacのライブ会場に入らねばならない。
だけど扉が開かないんだ。
同様に中に入ろうとしている隣のカップルと目が合い、あたし達は苦笑した。
会場前には携帯で話している人々が多く見受けられるけれど…誰もが一様に、繋がらないと苛立っている。
だとしたら。
電波も通じず、従業員にも連絡がとれない状況にいるということは――
この建物に閉じ込められた状態。
外は嵐。
不吉さ満載だ。
そんな時だった。
内外を遮断した扉に寄りかかっていたあたしの耳に、
「助けて、此処から出してッッッッ!!!!」
か細いけどそう叫ぶ…女の声が届いたのは。