シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「王子キャラの青いダーリンと居たじゃないか、ね、美弥タン」
「ね、祐タン」
そして、暫し見つめ合って…定番の"こいつぅ~"と人差し指でおでこをつっつく"祐タン"。照れ照れする"美弥タン"。
あたし…絶対こんなカップルになりたくない。
「あの…"青いダーリン"って…玲くんのこと? あたし、玲くんとはぐれてずっと探していて…」
またまたカップルが顔を見合わせた。
「あんな王子キャラ、そうそういないと思うけれど。ね、美弥タン」
「うん。後ろにマトリョーシカのように立っていたのは、この彼女タンだったよね。あのダーリンのコート着ているし。ね、祐タン」
マシリョーシカ?
何だ、そりゃ。
「超大好き、魔法使い"ゆんゆん"操る"軍神"が棄権するとは予想外だったけど、あそこまで行けるのは中々だね。認めてあげるよ、ね、美弥タン」
「ね、祐タン」
かなり上から目線の、君は一体何者だ…祐タン。
美弥タンもポーっと、祐タンを見てるでない。
しかし――
魔法使い"ゆんゆん"。
君達のコートに存在を主張している、ゆんゆん…。
「ゆんゆんって…そのコートの? チッチとシュッシュが出る、あの"ごきぶり叩き"の? "~なんですぅ"が口癖の、ごきぶり嫌いのあのロリロリ魔女ッ娘?」
途端、カップルは目をキラキラさせて頷いた。
「オタク話判るね!!! 僕タン達、小さい頃楽しみにして見てたクチ」
どんなクチだ。
「で、今でも大好き。美弥タンの次にね、美弥タン」
「いやーん。私も祐タンの次に、ゆんゆん好き。ね、祐タン」
そろそろ――
彼らの語尾の名前にイライラしてきた。
誰がオタク事情の、愛情の順位を聞いとる!!
二次元とリアルを一緒にするな!!!
心の中では突っ込むあたしは、彼らと同じ世代生まれなのか…ゆんゆん知識で、妙に仲間意識を芽生えさせてしまったようだ。