シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 
魔法使い"ゆんゆん"。


あたしは好意的には思えないものだ。


彼女の名を口にするだけで、大嫌いな"てらてら黒く光るアイツら"が思い出される、忌まわしいアニメ。


毎回1回は必ず"アイツら"は出てきて、嫌がるロリっ娘を散々いたぶり…キレたゆんゆんに逆襲される…なんともシュールなアニメ。


特に"ごきぶり叩き"は、絵柄も劇画調の熱血スポコン系のものに豹変し、その秘技の描写は凄まじいもので。


あれにOK出して、子供向けに放映する大人達の気が知れない。


――…ちゃああああん!!


誰だったか…驚いて怖がり、泣き出した子もいた。

あれは子供には衝撃的すぎた。


「今回軍神の"ごきぶり叩き"以外に、チッチとシュッシュの"ドラゴンヘッドアタック"が出るとは…もう大興奮。あのチッチが野生に返り、画面一杯に頭部が映し出された時は、感動して涙が出たよ。まあ…君との初めてのベッドタイム程じゃないけどね、美弥タン」

「もぅぅ。いやーん。祐タン」


…無視だ、無視。

あたしの脳裏には、昔の思い出。


ああ、確かその子怖がって泣き出すから、途中で見なくなったんだよね。


"ドラゴンヘッドアタック"


龍の…頭…攻撃?


小鳥のチッチって、ドラゴンだったの…?


そんな技まで出てたのか、あのほのぼの魔法少女の話。


"ごきぶり叩き"でさえ劇画タッチでああなら、ドラゴンヘッドアタックなんてものも、普通の…可愛いものではないんだろう。


だったらあの子、また気絶するよね。



――…ちゃああああん!!



誰だっけ、あの子。



友達?



はて?

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