シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「大会で優勝が決定した時、オタクがダーリン連れて早々に出て行ったじゃないか。ね、美弥タン」


確信めいて語られた言葉は、何ともおかしな日本語だけれど…そのニセモノは玲くんを拉致ったらしい。

拉致られても強い玲くんならなんとか切り抜けられるだろうけれど。


「何だか2人して、ふらふらしてたね、祐タン。ん、ひらひら? 飛んではいなけど、足元覚束ない感じで蝶みたいに。具合でも悪かったの?」


だから!!!

ニセモノだと言ってるじゃないか!!!


全くこのゆんゆんフリークは、人の話を聞いちゃいない。


そう怒鳴りだそうとした瞬間。



突如――それは起きたんだ。





突然――



バアアアアンッ。



ライブ会場へと続く扉が、乱暴な音をたてて開け放たれ、



大きくなる…幾重もの絶叫と――


「!!!?」



生臭い…鉄の匂いが流れてきたのは。



中からは音楽。

繰り返し流され続ける…Zodiacの音楽。



ああ…

なんてこと。



中から…出てきたのは。


ひらひらと舞うようにして、群れて出てきたのは…。




「黄色い蝶…!!?」




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