シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
そして――
「きゃあああああ」
悲鳴が上がったのは、会場内部からではなく。
目の前の…今まで話していた女性から。
蝶が…"美弥タン"を襲っていて。
「美弥タン、美弥タン!!!?」
崩れ落ちそうになる"美弥タン"を手で支えた"祐タン"は、ふらつきながら声を上げた。
「美弥タンの目が…目が!!!?」
両眼窩が抉り出されて、血が吹き出している。
何で…。
何で突然黄色い蝶が!!?
黄色い蝶は舞い狂う。
あちこちに飛び散る、真紅色と絶叫。
だったら…今まで蝶が居た会場内は!!?
慌てて覗き込む暗いライブ会場は――
回り続ける照明が、凄惨な地獄絵図を映し出す。
血色の…肉の塊。
屍の山。
扉を隔てたこの内部から聞こえた絶叫は、熱狂的な歓声ではない。
本物の、恐怖に満ちた絶叫だったんだ。