シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
記憶にない記憶。
気持ち悪い。
あの大画面を見ていた時のように、身体が…拒絶する。
オモイダスナ。
――あたしは。
オモイダスナ。
――神崎芹霞は!!!
オモイダスンジャナイ!!!!
その時だった。
風の流れを感じたのは。
また風雨が吹き込んできたんだろう。
今度は転ばないように気をつけなきゃ――
「…うわっ!!?」
と思っていた矢先、転倒2回目…は、かろうじて免れたけれど。
何とか態勢を保てたけれど。
雨と血糊で床が異常な程滑りやすくなっていると、判っていたはずなのに。
つるっ。
2回目は免れない運命だったらしい。
尻餅をついて転ぶと同時――
頭上で風が走って。
髪が揺れた。
真横に。