シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 
平気な顔ではいられない。

優しくなんて出来ない。


そこまで僕は…耐久性があるわけではない。


僕は――

壊れる寸前の…玻璃(ガラス)だった。


もし芹霞が、櫂のものにならないのであれば。

もし芹霞の言葉をなかったことに出来るのであれば。


僕はこの先、どんなことでも耐えよう。


そう…思った。


全てをなかったことにできるのなら。

時間を逆転出来るのなら――。


ああ…


そんなことを思ってしまったが故の、惨劇だったのだろうか。
 

緋狭さんは――

素手だった。


紅皇の迷い無き腕。


その正確さと強さは…過去の実績が証明している。


そして芹霞が看取った。


相手が緋狭さんだということと、芹霞の具合から――

完璧に櫂は逝ったことは証明されたんだ。


途端、笑う幾人もの声を聞いた気がする。


櫂が逝くことを…嘲笑い喜ぶ輩は、誰のものだったのか。


ああ――


いつの間にか観客も増え。


"マスター"と呼ばれた子供を抱えた…オッドアイ。


計都という名の…美貌の"ディレクター"の片手には、


目の焦点があわぬ"エディター"もいて。


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