シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

・邂逅 桜Side

 桜Side
***************


「ふざけんなよ、てめえッッ!!!


芹霞さんに手をあげるなんて、


――許さねえッッッ!!!」



よりによって煌が――

芹霞さんに手をかけようとした。


間一髪で間に合えた私は、安堵よりも…その事実に、その怒りに…ぶちっと何処かがキレた。


「よくも…てめえッッッ!!!」


私は芹霞さんを片腕でぎゅっと抱きしめる同時に、偃月刀を握る煌の手首を下から蹴り飛ばした。


真上に飛び上がる偃月刀に飛びつこうとした煌の首筋に、伸した足を…踵落としに切り替え、思い切り食らわす。


態勢を崩した煌に間髪入れず、そのまま連続的に、サッカーボールのように足の甲でその顔を横に蹴り飛ばし、その身体ごと壁に打ち付けた。


それでも私の気分は苛ついて、芹霞さんを抱いたままその場所に素早く移動し、そのまま…片手で煌の胸倉を掴んで高く持ち上げ、渾身の力で床に打ち付けると、仰向けになった煌の鳩尾を、足でぐりぐりと踏み付けた。


そこまでは数秒の動作。

煌が抵抗の為に何処かを動かすようであれば、私はその前にその動きを察知して、反対の足で容赦なくその器官を蹴り飛ばす。


収まらない。

私の怒りは収まらない。


好きだ諦められないといつもほざいて、

身分不相応にも櫂様玲様にたてついて、

いつもしたいようにさせてもらっていて。


いつも芹霞さんに盛って、

勝手に櫂様玲様に嫉妬して。


私の気持ちをも全て判っていて。

私なんて恋敵とすらみなしていなくて。


幼馴染という名の元に、芹霞さんから特別扱いされていて。

どんな状態でも、芹霞さんに見捨てられない程愛されているのに。


私なんかより、よっぽど愛されているのに。

< 331 / 1,495 >

この作品をシェア

pagetop