シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


瘴気。


瘴気。


僕の見知った顔ぶれから…

邪悪なる瘴気が漂い…狂気を紡ぎ出していた。


狂気は狂喜。


櫂が滅ぶことで喜ぶ輩が、確かにこの中にはいて。


違う。


僕は断じて喜んでなどいない。


芹霞の言葉に心を奪われ、

櫂の最期に四肢をもがれたようで。


涙しか――出てこなかった。


怒り哀しみ絶望…


混沌とした落涙。


笑いなど…出てこなかった。


ああ…

最期を笑われた櫂。


もし意識があったのなら、

櫂はきっと…判っていたと苦笑しているだろう。


生を望まれていなかった櫂。


それは僕の境遇と同じで。


僕と櫂は…同等の立場に居て。


こんな時、対等になったとしても…喜べるはずもなく。


そう――

判っていたからこそ、櫂は…乗ったのだ。


生を望まれていないのなら、

死すべきだと…潔く。


そこに"逆転"を賭けたのだ。


その覚悟も知らず…笑う輩。


――約束、して欲しいんだ。


許せない。


ダレニタイシテ?


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