シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


だから私は――


「芹霞さん、振り落とされないよう、僕にしっかりと捕まっていて下さい」


今まで巡らせてきた裂岩糸を――


思い切り引いたんだ。


途端に両手両足を広げて宙に浮く煌。


幾重にも幾重にも、身体に巻き付く裂岩糸。


空間を駆け回って巡らせた糸は、頑丈な拘束具となり…


煌をがっちりと固めて動きを封じたんだ。


「なんか…蜘蛛の巣に囚われた…黄色い蝶みたいだね、煌…」


芹霞さんが哀れんだ声を出した。


「しかし…恐らくこれは一時凌ぎ。その間に解決法を考えねば。煌を殺さずに元に戻す方法を…」


「それもあるけど…玲くんも探さないと」


まだ骸が残る会場に戻った時、芹霞さんは私の手から降り立った。


消えた温もりが寂しく感じる。


まだ腕の中に居て欲しいとは…言えない。



「居るんだけどな、間違いなく。

これだけは100%自信ある。


玲くんは居るけれど…場所が判らない」



もう…探していない場所はないはずで。


「ああ、桜ちゃん。この音楽止めない? 何かこれに邪魔されて集中できない。それからこの大画面も」


確かに。


気分を悪くさせるモノは、早く視界から排除したい。

< 351 / 1,495 >

この作品をシェア

pagetop