シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
だから私は――
「芹霞さん、振り落とされないよう、僕にしっかりと捕まっていて下さい」
今まで巡らせてきた裂岩糸を――
思い切り引いたんだ。
途端に両手両足を広げて宙に浮く煌。
幾重にも幾重にも、身体に巻き付く裂岩糸。
空間を駆け回って巡らせた糸は、頑丈な拘束具となり…
煌をがっちりと固めて動きを封じたんだ。
「なんか…蜘蛛の巣に囚われた…黄色い蝶みたいだね、煌…」
芹霞さんが哀れんだ声を出した。
「しかし…恐らくこれは一時凌ぎ。その間に解決法を考えねば。煌を殺さずに元に戻す方法を…」
「それもあるけど…玲くんも探さないと」
まだ骸が残る会場に戻った時、芹霞さんは私の手から降り立った。
消えた温もりが寂しく感じる。
まだ腕の中に居て欲しいとは…言えない。
「居るんだけどな、間違いなく。
これだけは100%自信ある。
玲くんは居るけれど…場所が判らない」
もう…探していない場所はないはずで。
「ああ、桜ちゃん。この音楽止めない? 何かこれに邪魔されて集中できない。それからこの大画面も」
確かに。
気分を悪くさせるモノは、早く視界から排除したい。