シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 


「僕が――

僕が居るだろう!!!?」



それでも芹霞は――

櫂を選ぼうとした。


櫂の居ない世界に、生きていたくないと…泣いたんだ。


芹霞。


それを聞いた僕の心、判るだろうか?


僕だって…

櫂と同じ、君を好きな男だ。


櫂と同じ、血を引いているんだ。


その僕を残しても…別の男の元に行きたいと言う。


少しは惑ってよ。

少しは考えてよ。


どんなに僕の熱さを…僕の想いを身体で伝えようとしても、凍えた芹霞の身体は僕を弾いたんだ。


そして――


芹霞から…

生気が奪われていく。


僕じゃ駄目なのか。

櫂じゃないと駄目なのか。


認めたくなかった。

櫂に奪われたくなかった。


諦めたくなかったんだ。


ただの悪夢に…したかった。


だから僕は――



芹霞を抱きしめながら、何度も何度も…呪文のように唱えたんだ。


"櫂なんて初めから居なかった"


――…と。
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