シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

僕には…緋狭さんのように、記憶を失わせるような力はない。


だからそれは僕の独白のような言葉だった。


だけど…芹霞の精神状態には、僕の言葉が効果を持ったんだ。



芹霞から…

櫂の記憶が抜けてしまった。


存在を消してしまったんだ。



12年間、芹霞が慈しんできた幼馴染を。


12年目にして、初めて"好き"と自覚した男のことを。



あんなに芹霞を愛し――

自分を変えてまで、芹霞を守り続けた男のことを。



僕は――


ああ、僕は――!!!





――…罪。


これは僕の罪だ。



僕は――


僕達仲間のことを心から案じて、

自分の命をかけた櫂を裏切った。



芹霞の愛情を受け取らず、

逝くことで僕達を守ろうとした…


そんな櫂と…櫂が深く愛する芹霞を引き剥がそうとした。



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