シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
BR001、あの銀色氷皇が…そしてまた暗躍始めた制裁者(アリス)という存在が、櫂を取り巻く危機的環境の一端となりえるのなら。
それがどういう意味を成すのか判るのは…元制裁者(アリス)俺しかいねえから。
俺がどんなに馬鹿で愚鈍でも、俺が求められるのである限り、俺だけしか制裁者(アリス)の懐に潜れねえから。
――約束、して欲しいんだ。
俺は――
櫂との約束を、違えるわけにはいかねえから。
だから桜に託した俺の覚悟。
例え芹霞の前に姿を現すことがなくなっても、もう一人の大切な幼馴染だけは守るつもりだった。
――今まで通り…あたしを守ってくれるでしょうッッ!!!?
芹霞を守る男は俺以外にいるけれど、制裁者(アリス)面から櫂を守れるのは俺しかいねえのだから。
桜に…託したんだ。
心は…お前らのものだと。
それが。
その覚悟が。
何だよ、俺。
何で、心から制裁者(アリス)になってんだよ。
心まで、制裁者(アリス)になったって、何だよ。
何処まで俺、情けねえよ?
何処まで俺、芹霞を…皆を失望させるよ?
何やってるんだろう、俺。
したいのは"殺戮"じゃなかったんだ。
櫂の役に立ちたかったんだ。
俺は…役に立てたか!!?
否!!!
心が叫ぶ。
本能が叫ぶ。
何より、此の場の皆の目が…否定している。
駄目じゃねえか。
本当に最低男じゃねえか。
至上…最悪。
罪に罪を重ねて…それでいつもの"如月煌"に戻るって?
戻れるって?
こんな情けねえ俺が、
どう…その罪を贖えるというんだよ?
俺には、救いなんてあるわけねえんだ。