シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「瘴気だってさ…結局はこの現実世界においては、"ありえねえ"或いは"必要ねえ"ものが突然何処からか流れ込んできているわけだろう? 瘴気が大きくなれば、正常な人間も狂い出す。瘴気を纏い出す。似たようなもんじゃねえか」
特別凄いこと言っているわけじゃねえ。
俺の頭でも思えたことだから、当然皆も考えていたと思ったけれど。
「瘴気…」
玲は険しい顔で考え込んでいて。
「瘴気で構成された…Zodiac?」
桜も同様で。
一体、何がそんなにこいつらを考えさせているのかさっぱりだ。
「玲様。私が煌と此処に来た時、確かに凄い瘴気に溢れていました。それが…今は微かにしか感じられない。あの時にあって、今はないもの…それは、黄色い蝶と屍です」
玲は目を細めた。
「玲様…何で黄色い蝶は現われたんでしょうか」
「芹霞を狙ったのか?」
「私達が行く処において黄色い蝶が現われた時、確かに芹霞さんは必ず居て…芹霞さんを狙っているのだと警戒していました。しかし、煌と再会した北新宿において、黄色い蝶は現われた。芹霞さんは居ないのに」
「北新宿?」
「はい。情報が入り…煌は西早稲田、北新宿、歌舞伎町、新橋の何処かに現われると。そして私は一番近い北新宿から、此処に来ました…」
何で俺の出現位置が固定されてるんだ?
「桜。情報通りに煌が現われたのだとしたら、必ず根拠があるはずだ。黄色い蝶が出現するから…か? だとすれば、何故お前に出現位置がわかり得た?」
俺はさっぱり判らねえと、頭を横に振る。
「芹霞が居ないのに現われた黄色い蝶…か。そして今回…Zodiacらしき者が電脳界に出入り出来る可能性も高まった。
Zodiac…Zodiac。忌まわしいZodiac。
何でよりによってZodia……ん?」
玲が考え込み…そしてはっとしたように顔を上げた。
「僕が記憶する限りにおいて…過去、黄色い蝶が現われた時に、
共通して"あるもの"があった」
俺達は顔を見合わせた。
共通事項なんて…あったか?
「念の為、全ての場合を確認したい。
まず桜。北新宿で…"流れて"いたか?」
「はい?」
「Zodiacの曲」