シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 
「瘴気だってさ…結局はこの現実世界においては、"ありえねえ"或いは"必要ねえ"ものが突然何処からか流れ込んできているわけだろう? 瘴気が大きくなれば、正常な人間も狂い出す。瘴気を纏い出す。似たようなもんじゃねえか」


特別凄いこと言っているわけじゃねえ。

俺の頭でも思えたことだから、当然皆も考えていたと思ったけれど。


「瘴気…」


玲は険しい顔で考え込んでいて。


「瘴気で構成された…Zodiac?」


桜も同様で。


一体、何がそんなにこいつらを考えさせているのかさっぱりだ。


「玲様。私が煌と此処に来た時、確かに凄い瘴気に溢れていました。それが…今は微かにしか感じられない。あの時にあって、今はないもの…それは、黄色い蝶と屍です」


玲は目を細めた。


「玲様…何で黄色い蝶は現われたんでしょうか」


「芹霞を狙ったのか?」


「私達が行く処において黄色い蝶が現われた時、確かに芹霞さんは必ず居て…芹霞さんを狙っているのだと警戒していました。しかし、煌と再会した北新宿において、黄色い蝶は現われた。芹霞さんは居ないのに」


「北新宿?」


「はい。情報が入り…煌は西早稲田、北新宿、歌舞伎町、新橋の何処かに現われると。そして私は一番近い北新宿から、此処に来ました…」


何で俺の出現位置が固定されてるんだ?


「桜。情報通りに煌が現われたのだとしたら、必ず根拠があるはずだ。黄色い蝶が出現するから…か? だとすれば、何故お前に出現位置がわかり得た?」


俺はさっぱり判らねえと、頭を横に振る。


「芹霞が居ないのに現われた黄色い蝶…か。そして今回…Zodiacらしき者が電脳界に出入り出来る可能性も高まった。

Zodiac…Zodiac。忌まわしいZodiac。

何でよりによってZodia……ん?」


玲が考え込み…そしてはっとしたように顔を上げた。


「僕が記憶する限りにおいて…過去、黄色い蝶が現われた時に、

共通して"あるもの"があった」


俺達は顔を見合わせた。


共通事項なんて…あったか?


「念の為、全ての場合を確認したい。

まず桜。北新宿で…"流れて"いたか?」



「はい?」



「Zodiacの曲」

< 407 / 1,495 >

この作品をシェア

pagetop