シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
――あたしは…神崎芹霞は!!!
「櫂は完全に死んだ」
――紫堂櫂を愛してる!!!
そして僕は――
次期当主という…名ばかりの肩書きを、正式に手に入れた。
苦肉にも――
僕から一度擦抜けたものを、再び手にしたんだ。
櫂を…犠牲にして。
――約束、して欲しいんだ。
そして僕は。
その肩書きだけが持つ威力で芹霞を囲い、傍らに置いて…久涅の手から芹霞を守ろうとしたけれど。
残酷だね、運命は。
芹霞は…櫂を追い詰めた、櫂と同じ顔を持つ男に好感を持った。
そして久涅自身…変わった気がするんだ。
穏やかな…表情を浮かべるようになったんだ。
それが愛故の変貌というのなら。
ああ、それはまるで櫂そのもので。
僕は――
いつまでたっても、櫂の影から抜けられなくて。
息が出来ない。