シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


櫂。


櫂。



お前は本当に死んでしまったのか?


僕は…肩書き故に走れない。


電脳世界が、僕の管理下にない現況であれば尚更のこと…僕はお前の安否を確認する術がない。


誰に聞くこともできない。




櫂。


紫堂の次期当主って…何なんだろう。


――玲様。貴方の筋肉に電気を流します。



度重なる…採血、耐久実験。



――玲様の電気の力が…"生命"を創り出すんです。



僕の力は、肩書きと引き替えに――

"何か"に利用されようとしている。


僕は…モルモット。


ここで僕が協力することはいけないことだと十分承知の上で…僕はまだ、お前との約束を守り続けている。


僕にしか出来ない立場から、僕だけにしか判らない情報を拾い集めている。


だけどまだ…何も判らないんだ。


僕は――誰に利用されているのだろう。

僕は――何に利用されているのだろう。


これに耐えぬ限り、僕は芹霞をも守ることは出来ない。


覚悟していたとはいえ…

こんな無様な姿、芹霞には見せることは出来ないね。


芹霞は無意識にも…お前のように、僕がばりばりと仕事をこなしているのだと思っている。


仕事?


それは僕の身体の提供だ。


僕という存在は、お前の父親にとってはその程度の価値しかないみたいだ。


目的の為の――ただの道具だ。
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