シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「………。司狼、旭。スキャナの作業を早めろ」
久遠は、菓子を貪りながら傍観していた2人に言った。
「今までの2倍のスピードで、今から1時間の間に…此処にある該当の可能性がある全ての書物のデータを取り込ませろ」
「はああああ!!? 1時間…凄い量なのに!!!? そりゃないよ久遠様!!!」
「できねば暫く"飯抜き"、"菓子抜き"、"遊び抜き"だ」
「えええええ!!?
何だよ、その"三重苦"ッッッ!!!」
「久遠様、できたら?」
旭がきらきらとした目で久遠を促す。
「血が滴る"レア"の骨付き肉でも、思う存分食わせてやる」
「――!!!
旭頑張る~!!!」
旭の顔は輝いて、俄然やる気を見せた。
血が滴る"レア"の骨付き肉…。
まさかね…。
俺と自然と遠坂と顔を見合わせた。
「何の肉かは…考えないようにしようよ、紫堂」
遠坂の顔は引き攣っていた。
「由香」
久遠が遠坂を見る。
「あと1時間経てば…"約束の地(カナン)"にテレビ局が来る」
取材?
「あ、もうこんなお時間でしたか」
蓮が慌てた声を出した。
「人気番組の生中継で、"約束の地(カナン)"の新アトラクションと新規オープンしたブティックの紹介をしてくれるらしい。
由香、言いたいことは…判るな」
暫くして、遠坂はにやりと笑った。
「判ったよ久遠。そっちの方面で…やってみようじゃないか。思ってもみなかった方法だ」
何の…話だ?