シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「何だよ、君らしくない頭の回転だな。テレビだよ、電波!! ばりばり電脳世界に繋がってるよ。隔離されてる"約束の地(カナン)"と全国結ぶくらい、強烈な0と1が来るんだ。それに乗じ上手くいけば…師匠とコンタクトとれるかもしれない。
もし師匠が電脳世界から逃れていても…何処かで気付いてくれるかもしれない。ボクからの信号を」
ああ、成る程。
ようやく玲と…連絡が取れるのか。
ウイーーーーーーン。
ウイーーーーーーン。
ウイーーーーーーン。
ウイーーーーーーン。
目の前では司狼と旭が2倍増しの速度でスキャナを取っている。
2人の志は対照的なれど、ここまで必死になれば笑えてもくる。
遠坂は、猛烈な速度でプログラムを組み始めた。
「お前は出てくるなよ、紫堂櫂。お前がテレビに少しでも映れば…全てが水の泡。更にはお前を匿ったことで、"約束の地(カナン)"に何かをされるか判らない」
それくらい、俺だって判ってる。
俺は頷いた。
「久遠様、もうお支度に入られますか?」
「このままで「駄目です」
蓮がきっぱりと言った。
「貴方様は各務のご当主。全国ネットで放映されるのに、そんなだらしない格好でどうするんですか。まず、薔薇のお風呂でも入ってきてください」
薔薇の風呂…?
「お洋服は、"約束の地(カナン)"に新装オープンした、あのお気に入りのブランドのものでいいですね?」
何だか、痒い所にまで手が伸びる蓮は…秘書のようだ。
このてきぱき感。
蓮がいなければ、絶対久遠は…裸に白シャツひっかけた今の格好で、平然とテレビに映っているだろう。
それはそれで"約束の地(カナン)"も更に人気になるだろうが…同じ男として、そうした人気の取り方は許し難い。