シンデレラに玻璃の星冠をⅡ



久遠は――


「どうしますか、久遠様!!?」


やる気のない溜息をついた。


「別にオレは、どうでもいいんだけれど」


予想しなかった反応…とは言わないけれど。

本当に面倒臭そうに、気怠(けだる)そうに俺を見てきて。


「久遠、久遠、久遠ッッ!!! 頼むからやめてくれよ!!? どうでもいいからって、どんな好条件出されても、紫堂を売り渡すことだけは絶対するなよ!!? それやられたら本当に困るというか、もうこの世の終わりなんだッッ!!」


「ふうん?」


判っているくせに。


「でもオレには関係ないし」


俺を匿っているのが判れば、"約束の地(カナン)"がどうとか心配していた癖に、どうしてもこいつは…俺の口からの懇願を聞きたいのか。

俺を懐柔したいのか。


「お前なんか嫌いだし」


「久遠様、どうなされますか? といっても、奥の間で勝手に控えていますけれど。それにしても…」


と言いながら、ちらちらと俺を見る蓮。


俺と久涅が酷似しすぎているせいだろう。


「久遠、頼む!! ここは穏便に…ッッ!!!」


「由香に頼まれてもね」


俺の顔は引き攣った。


「何」


上から目線の傲慢な久遠。


「年上に対して、腹立つ態度だな、お前」


俺は黙って睨み付けている。


もっと腹立つ態度の男が控えているのを知らぬは久遠。


< 433 / 1,495 >

この作品をシェア

pagetop