シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
久遠は――
「どうしますか、久遠様!!?」
やる気のない溜息をついた。
「別にオレは、どうでもいいんだけれど」
予想しなかった反応…とは言わないけれど。
本当に面倒臭そうに、気怠(けだる)そうに俺を見てきて。
「久遠、久遠、久遠ッッ!!! 頼むからやめてくれよ!!? どうでもいいからって、どんな好条件出されても、紫堂を売り渡すことだけは絶対するなよ!!? それやられたら本当に困るというか、もうこの世の終わりなんだッッ!!」
「ふうん?」
判っているくせに。
「でもオレには関係ないし」
俺を匿っているのが判れば、"約束の地(カナン)"がどうとか心配していた癖に、どうしてもこいつは…俺の口からの懇願を聞きたいのか。
俺を懐柔したいのか。
「お前なんか嫌いだし」
「久遠様、どうなされますか? といっても、奥の間で勝手に控えていますけれど。それにしても…」
と言いながら、ちらちらと俺を見る蓮。
俺と久涅が酷似しすぎているせいだろう。
「久遠、頼む!! ここは穏便に…ッッ!!!」
「由香に頼まれてもね」
俺の顔は引き攣った。
「何」
上から目線の傲慢な久遠。
「年上に対して、腹立つ態度だな、お前」
俺は黙って睨み付けている。
もっと腹立つ態度の男が控えているのを知らぬは久遠。