シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


『用件はそんなことじゃないだろう、何だ?』



『"約束の地(カナン)"を手放せ』



は?



『元々紫堂財閥が出資している。各務は借金の身。あいつがいたから各務はオーナーとして雇っていたが、状況は変わった。"約束の地(カナン)"は、紫堂が直接動かす』


久遠はまるで表情を動かさない。


『それは…"現"次期当主の命令か?』


『当主の命令だ。玲がいないから、代わりに俺が来た。玲が居れば、玲が此処に宣告しにきたはずだ』


『断ると言ったら?』


『断れないだろう、各務久遠。お前達を此処から引きずり出すことも可能だ。だとすればどうなる? 此処で"生かされている"お前達に、他で生きる術はあるのか?』


知っているのか、各務の…久遠のことを。


『此処を譲るのであれば、此処に居させてやってもいい。

――とのことだ』


にやり。

久涅は笑う。



『……随分な変わりようだな』



久遠が静かな表情のまま、言った。



『何処で、お前はそうなった?』



え?


俺は遠坂と顔を見合わせる。


知っていたのか?

久遠と久涅は、知り合いだったのか!!?

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