シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 
『気づいていたのか』


久涅の声が低くなった。


『正直、気づいたのは今だ。初めは判らなかったさ、その姿に惑われて。だが…何処かでその"気"を感じたことがあると思って記憶を遡らせていた』


『まだ耄碌(もうろく)していないということか』


『年上を敬わないのは、紫堂の血統か?

それとも…そこまで"模倣"しているのか?』



久遠が足を組みかえる。



『"模倣"は…

あいつの方だ!!!』



荒げられる久涅の声。


模倣?

あいつ?


『どちらが模倣でどちらが真実かなんてオレには興味がない。どうでもいい事象だ。お前の事情に首を突っ込む気もなければ、そんな面倒なことをしたいとも思わない』


久遠の声は、何処までも淡々としていて。


『この場所は…せりが好きな場所だ』


突然出た芹霞の名前に、わざとらしい程に反応したのは…久涅で。


『それが模倣か真実か、オレにはどうでもいいけれど…』


そして、久遠が立ち上がった。


『お前がせりの敵になるのなら、オレは黙っちゃ居ない』


『お前……?』


『…せりが此処を愛してくれるのなら。この場所に笑顔が増えているのなら。オレは…正当なるこの土地の所有者として、戦うぞ』


『………』


「格好いい、久遠!!!」

遠坂が飛び上がった。


「かっこいい~、久遠さま~」

旭も真似した。


司狼だけは必死にスキャニングしている。



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