シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


桜は――

氷皇の権威によって、集中治療が出来るらしい施設に連れられた。


本当は僕は反対していたけれど、そこに緋狭さんが加われば…僕は頷くことしかできず。


僕の命令ということで、桜はその場所に搬送された。


煌は――

以来、姿を現さない。


真紅色の眼差しは…完全に堕ちた証拠なのか。



櫂の周りには…僕達が居た。


だけど僕の周りには…誰も居ない。


居るのは…記憶を奪った芹霞のみ。


そして僕は毎日のように、懺悔を唱えるんだ。


ごめん、と。



櫂。


罰があたったよ。


僕は孤独だ。


笑うことが難しくなってしまった。



芹霞がいなければ…

僕はとうに狂死していた。



帰ってこいよ。


帰ってきてくれよ。



火にくべられる櫂の死体を見た。



僕は信じている。


あれは櫂じゃない。


櫂のはずがない。


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