シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「んー。何だか間合いとか、まるで掴みにくいけど…これで頑張ってみるか。一応大きい分は威力ありそうだし」
その武器の攻撃力を、外見だけに見出すなんて愚の骨頂。
「煌、よくそんなの持ち上げれるね」
「お前だって持ち上げたんだぞ、軽々と」
「冗談やめてよ、ねえ…玲くん?」
目を閉じて、瘴気の度合いと方角を感じ取っていたらしい玲様に、突如芹霞さんから声がかけられて。
「たかだか一般人の、ただの女子高生に過ぎないあたしなんかが、こんな重くて物騒なもの、軽々となんて振り回せるはずないよねえ? 一応属性オトメなんだしさ、物理的にそんなの不可能だよ。ねえ?」
「え…?
あ……。
………。
………。
………。
……うん…」
「ほら~、玲くんだってそう言ってるし」
「お前…行間の心を読み取れって」
芹霞さんに関しては――
突拍子のない無茶苦茶なことを突然しでかす人だとは判っていたが、あそこまで煌に攻撃して震え上がらせることで正気に戻し、更には鍛えてもいない細腕であの巨大な偃月刀を振り回すなど…本当に驚愕もので。
この世で本気で怒らせてはいけないのは、神崎姉妹だと思い知った。
呆気にとられるというより、教訓として心に刻み付けられた。
恐らく。
そんな姿を見せたのは、相手が煌だからだろう。
煌だから、心を剥き出しにした気がする。
――物理的にそんなの不可能だよ。
それを可能にした芹霞さん。
そこまで煌が欲しかったのか。
そこまで煌を戻したかったのか。