シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

「で、どうするよ…玲。瘴気はこの部屋の外。この瘴気の膨張は、この部屋から外に流れた黄色い蝶と無関係とは言い切れねえだろう。

危険回避して天井から外に出るか?」


煌の手には大きいままの偃月刀。

戻すのを諦めたらしい。


やはりふざけた男だと、そう心で舌打ちした時だった。



瘴気の――

動く気配を感じたのは。


この瘴気は…膨張する瘴気とは別物だ。


単体ではなく…複数のもの。


この方角は――


「逃がしてはくれなさそうだね?」


玲様が、警戒に満ちた鋭い視線を…天井に向けた。


「1つ1つは弱いけど…結構なもんだぜ?」


煌が巨体な偃月刀を両手で構え、同じ場所を見つめて。


「覚えがあります。これは…」


そう、この瘴気は…。



バリーーーーン!!!



「長浦港での…姿なき敵!!!」



「芹霞、僕から離れないで!!! 結界を強める!!!」


玲様を覆う青い光。


外に向けて拡がった青い光は、曲線となって頭上に集まり…私達を覆った大きな籠(ケージ)となる。


「……?」


何だか――

いつも程の力強さがなく感じた。


体調が悪いのか?

それとも電脳世界で何か…。




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