シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

歩いていたら、噴水前の青いテントにぶつかった。

誰も居ない場所なれど…

玲様が凄く嫌な顔をされた。


「ね、玲くん。結局あの紙袋「何か寒くなってきたね」

「そう? であの紙「ああ、君の服…汚れちゃったね」


「!!!」


"紙袋"を訴えていた芹霞さんは、にっこりと笑う玲様に遮られ、そしてしゅんと項垂れた。


「ごめんなさい。分割70回金利0にてお願いします」


「ははは。いいんだよ。いいんだ。僕は…これがあるからね」


玲様は、月長石のバングルにキスを寄越した。


何だかその姿は、手首に巻かれた布に口付けていた櫂様を彷彿させるもので、私はじんと胸が熱くなってしまった。


「それ、何よ」


食いついたのは馬鹿蜜柑。


「内緒」


玲様は唇に人差し指を当てて笑った。


「だから何よ」


「秘密」


嬉しそうに。


多分…芹霞さんからの贈り物なんだろう。


それにキスを送るのは…多分櫂様を意識されている。

そんな姿を見ても、芹霞さんの櫂様の記憶は刺激されないのか。


完全に拗ねてテントの中でいじけていた煌だったが、机の上の何かを見つけたようで、くるりと振り返った。


「なあ…これ見ろよ」


それは1枚の紙。

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