シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

「玲。芹霞に言えよ。あいつなら何とかするから」


玲様は首を横に振った。


「出来ない。それだけは僕が嫌だ。

僕の矜持なんだ。

同情ではなく…真実の愛が欲しい。

僕自身…もう切羽詰まっている。

櫂にも…お前にも…渡したくないんだ」



――紫堂櫂を愛してる!!



あの場面を覚えていないのは煌だけだ。

玲様のお心はきっと…全てはくみ取れない。


「玲……お前さ…」


煌が…玲様の胸倉を掴んだ。


「煌!!!」


私は制したけれど…煌は止まらなくて。



「何でいつも自分で背負い込む?」



殴る…わけではないのか。



「ひと言…言えばいいだろ、俺達に。

破談にしてこいって」



鳶色の瞳と褐色の瞳が絡みつく。



「これは…僕の問題で…」


「玲」


煌が言う。


「あれ程櫂をたてて、次期当主を…紫堂家そのものを嫌がっていたお前が、次期当主になったのは…お前は自分を犠牲にして…櫂を芹霞を俺達を守ってたんだろう?」

それは怒りにも似た――


「そんなお前を、どうして俺達に守らせね?」


哀しみ。
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