シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「そりゃあ俺、今まで散々しでかして…合流したのは今だけどさ、だけど言えよ、そんな大きいことは始めに!! 抱え込むなよ、いつもお前は!!!」
「煌……」
「正直…芹霞といちゃいちゃしてるお前をぶん殴ってやりてえ程むかついてはいるけどさ、だけどあんなに色々と"お試し"に賭けていたお前が…今慌てたようにやらないといけないってことは…それだけ事態が切迫して、苦渋の決断だったんだろ!!?」
玲様は俯いた。
「俺だって、お前には愛のない結婚も、愛のない子供も作らせたくねえんだよッッ!!それは芹霞がどうのの問題じゃなく、お前が櫂に思っているのと同じコトくらい、俺だってお前に感じるんだッッ!!」
煌は手を離した。
「見損なうな、玲。自分では破談に出来ねえから、俺には絶対出来ねえなんて思うな。桜もいるんだ」
私は頷いた。
「頼れ、玲。命令でも何でもいい。困った時には助けさせろ!!」
玲様より…零れた涙。
静かに静かに…頬に伝い落ちる。
「お前の世界は…俺達だっているだろう!!?
お前の世界に居るのは…
櫂と芹霞だけじゃないだろう!!?」
「煌……」
そして――
玲様はこちらを向き直る。
「僕は…結婚したくない。
だから…頼む。助けてくれ」
そう頭を下げた。
「何で頭下げるんだよ、お前!! もっといつものようにえげつなく言えばいいんだよ、本当にもう」
そう言いながら煌は笑った。
「了解、了解。お前はお前で…もがけ。
芹霞とのことは…俺は口出ししない。
俺達は裏から動く。せいぜい俺達の"目くらまし"となって、頑張れよ」
そして、
「桜、皇城家に行くぞ。
俺も…七瀬に早く会わねばならない」
玲様に背を向けた。