シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

「玲くん…玲くんって…結婚願望ある?」


「え? どうして?」


にこにこ、にこにこ。


その表情は崩れることなく。


「玲くんなら、いつお嫁に行っても大丈夫だから。お嫁さんはきっと楽だね~」


誤魔化し笑いをしながら観察していても、


「ふふふ。じゃあ芹霞、楽してみる?」


全然変わらない。

いつも通りの玲くんで。



「君と結婚出来たら、毎日が楽しいだろうね」


それどころか嬉しそうで。


「僕、君に毎日…ケーキ焼いて上げるよ? ふふふ。思い切ってケーキ屋さんなんて…開いて見る?」


だけどどことなく儚げで。


「芹霞と結婚できたら、幸せだろうなあ」


ああ、やっぱり。


「芹霞。僕はもう…結婚出来る歳なんだ。

芹霞をお嫁に貰えるんだよ、僕」


やっぱり玲くん――。


「君がお嫁にきたら…僕嬉しくて泣いちゃうだろうね」


あたしを"結婚"に結びつけていない。


あたしはただの夢の象徴。


現実扱いなんてしていない。


それは何故かなんて、理由は簡単。


現実に…"結婚相手"がいるからだ。
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